景麒は金波宮にまつわる面白い怪談をお話して差し上げる事にした。

「では、金波宮にまつわる怪談を……」
 そう切り出す景麒に、陽子は面白そうに耳を傾けた。

「昔、この金波宮に仕える一人の兵が、見回りの為宮殿の中を夜漆黒の闇の中小さな松明を頼りに歩いていました。すると、ある部屋から赤ん坊の泣き声のような声が聞こえてきたのです……」

 陽子はじっと耳を傾ける。
 外ではいつの間にか霧雨だったものが豪雨に変わり、雷鳴が鳴り響いていた。

「兵士は不審に思いました。宮殿の中に赤ん坊など……兵士は恐ろしくもありましたが、思い切ってその部屋を覗いて見ました。すると……」

 寝そべっていた体勢から今度は身体を起こして陽子は聴く。だが物語もいよいよ佳境に入って来た所で、景麒はある事に気付いた。

 そろそろ政務に戻らなければいけない時間である。
 だが主上は興味深げに話の続きを待っている。

 景麒は……


A:主上も先を楽しみにしてらっしゃる事だし、もう少しお話して差し上げよう。

B:政務が最優先だ、もう怪談話は止めて仕事に戻って頂かなければ。

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